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出遅れおじさんです。
昨日(8月15日)公表の話なので、古新聞の記事で恐縮ですが、4月~6月のGDP一次速報値が公表されました。
皆様にはご案内の通り、実質GDPは対前期比+1.5%(年率+6.0%)、名目GDP対前期比+2.9%(年率+12%)と、実質成長はコロナ直後の回復期には及びませんが、名目値(物価上昇含む)については、「スワッ バブル期並の上昇?」 と勘違いしそうな数字でした。
まず、本題に入る前に、このGDP速報値についてのニュースの扱いについては違和感を感じざるを得ません。
マスコミの皆さんが、後で記載しますように今回の成長率が左程喜ぶべき状況ではないということを理解した上で、大きく扱っていないというならご同慶の至りですが、ひねくれた私の見方では、GPIF(年金積立管理運用独立行政法人)の騰落成績報道と同じで、下がると大騒ぎする割には、上がると誰も取り上げない・・・と同じではないかと言わざるを得ません。
GDP成長率が停滞すれば大きく記事にするが、大きく上がれば誰も記事にしない、ということではないでしょうか。
率直に言って、今回のGDP成長率の速報値については、全く手放しで喜ぶわけには活きません。
内容が良くないからです。
我らが(?)日経新聞の記事
に、ありますように、訳の分からない解説が横行しています。
上記の記事(特にタイトル)では何となく、輸出は好調だが、個人消費はイマイチという風に読めます。
個人消費が不調であることが最大の問題点であることは見えますが、なぜ、成長率が大きく上昇したのかは、輸出の復調と記事表題にはありますが、本当はそれ以上に輸入が減少していることがGDPを押し上げているということをさらっと文章で記載しているだけで、どちらが本質かは触れられていません。
ましてや、添付されている数表
を見ると、余計に分からなくなります。
この表を、どう読み解くか、ご理解できた方がいればご教示いただきたいと思います。
この表を一番わかりにくくしているのは、部分を抜き出し(全体が把握できない)、かつ違う種類の数字(対前期の増減とGDP寄与率)を混在させていることです。
結局、記事を書いている方が何も理解できていないと言わざるを得ません。
全体が分かる表はないかと探したら、以下のMURC(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)殿のレポートを発見したので紹介します。
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2023/08/gdp_res_2308_01.pdf
本レポート内の表
が今まで見た中では一番分かりやすいと思いました。
今回の対前期GDP+1.5%の内訳は一番左の欄に示されています。
内需-0.3%、外需+1.8%(うち輸入+1.1%)です。
今回のGDP成長の2/3以上は輸入の減少(GDPとしてはプラスに作用)によるものであり、内需がマイナスであることは深刻に受け止めなければなりません。
(大きく言えばエネルギー価格の減少や内需の縮小によるものです)
私と同年代(立派なジジイです)前後からやや下の世代の方は、「ニッポンは貿易立国」と学校で教え込まれた方が多いと思いますし、そう信じていらっしゃる方も多いと思いますが、それは高度経済成長時代の話です。
以下のグラフ(2018年実績 モノイストITメディア殿サイト 小川製作所小川真由<まさよし>殿レポートより借用)
に端的に表されておりますように、輸出のGDPに占める比率は、日本は18%で、米国(12%)についで世界で二番目に小さい国なのです。
我が国は世界最大の内需国である米国に次ぐ堂々の世界二位の内需国なのです。
従って、内需の減少・停滞があれば一番にそこを問題視すべきなのです。
内需がなぜ減少しているか?・・・物価の上昇に給与等収入(勿論手取りベース)の上昇が追いついていないからに他なりません。
GDPが成長して税収が増えているのですから、「成長減税」という提起がなぜマスコミから出てこないのでしょうか。
やはり「ザイム真理教」に毒されているからなのでしょうか。
有り難うございました。