出遅れリタイア日記

年金生活への移行 資産運用等

二日続きの【モーサテ日記】木内さん! 大丈夫ですか?

当ブログをご訪問頂きまして大変有り難うございます。

出遅れおじさんです。

 

【おことわり】

 「モーサテ日記」は以前モーサテのキャスターをされていた佐々木明子さんの日経マネー誌の連載タイトルです。佐々木明子さんがWBSに異動されて連載タイトルが変わりましたので勝手にパクっています。

 

 二日続きのモーサテネタで恐縮です。

 

 本日(9月8日)のモーサテ「プロの眼」のゲストは野村総研木内登英氏で、テーマは「中国経済『日本化』 米国経済『中国化』」でした。

 

 併せて、二日続きの中国不動産バブル崩壊ネタです。

 

 木内氏と言えば、野村総研入社後、2012年から2017年まで日銀の政策審議委員を務められた方ですので、斬新な視点から・・・なーんてことは全く期待していませんでしたが、表題後半の「米国経済『中国化』」はどういう切り口か、極めて興味深く聞かせていただきました。

 

 まず、中国経済の『日本化』」については、日本のバブル崩壊過程との共通点として

・潜在成長率が大きく低下

・当局が不動産市場の調整を一定程度容認

アメリカとの貿易摩擦

を上げました。

 

 潜在成長率の低下については、その通りでしょう。

 

 不動産市場の調整については、我が国では総量規制に始まり容赦ない破綻処理を断行し、途中不可解な状況で命を絶たれた方もいらっしゃったようでしたが、中国の場合破綻しつつある不動産会社に資金支援はしておりませんが、反動を恐れて破綻処理にも手を付けられない状況です。

 中国の場合、一説によれば人口の倍以上のマンションが不良資産化すると懸念されています。

 

 米国との貿易摩擦については、番組では米欧での鉄鋼関税のニュースに絡めて説明はされていましたが、中国の置かれた状況はそんな生やさしいものではありません。

 中国にとって、安全保障上の脅威となり得る先端技術の分野でのデカップリング(デリスキング)により、半導体等世界をリードしてきた成長分野の成長の芽が摘まれてしまう可能性すらあります。

 併せて、画像処理とAIを組み合わせた分野では最先端を走っている中国ですが、さらなる成長のためには、高度なハードウエアの支えが不可欠であり、大きなハンデを負うことになります。

 

 そして最大の懸念は、中国共産党政権が政権維持のために打開策を打ち出せないことにあります。

 昨日の肖敏捷氏の方が、中国が今抱えている問題点を良く理解されています。

 

 次に、「米国経済の『中国化』」について木内氏が提示したのが、次のグラフです。

モーサテ画面より



 企業が過剰な債務を抱えている・・・って、何が問題なんですか?

 

 もしかして木内氏は「お金を借りるなんてとんでもない!」って「ザイム真理教」に毒されていません?

 

 木内氏のグラフでは、企業債務が増えると経済ショックが発生するという文脈で説明されていますが、原因と結果が逆で、経済ショックがあったから企業がリスクをとらずに負債を減らしたと見るのが正しいのではないでしょうか。

 様々なショックの中で、明らかに過度な負債が原因とみて良いのは、リーマンショック(サブプライムローンに化けた家計負債が原因)だけではないでしょうか。

 木内氏は債務が過剰になると、金利上昇への耐力がないと懸念されていますが、今が殆どピークに近い高金利です。

 

 改めて問います。負債を持つことは「悪」ですか?

 

 IMFが集計した政府、民間(家計、非金融企業<NFC>)債務のGDP比率の推移があります。

IMF資料より

www.imf.org



 この資料自体は、「GDP債務残高比率が増えて要注意!」と言う主旨で示されているので、私の主張とは真逆ですが、政府にしろ企業にしろ「リスクをとって」お金を借りて投資することによって初めて経済が成長するのではないでしょうか。

 従って、長期のトレンドではGDPの成長を上回る比率で負債は上昇し続けてきました。

 

 言うまでもありませんが、GDP債務残高比率は先進国>途上国です。そして途上国は先進国に追いつかんばかりの勢いで債務残高比率が上昇しています。

 逆に企業の債務残高のGDP比率が増えていない国があります。

 2000年以降の我が日本です。(経済産業省資料より)

経済産業省資料より

www.meti.go.jp



 

 企業債務残高の良否は、それに見合う資産の評価がきちんとされて、透明性を持って公開されているかにつきるのではないでしょうか。

 

 さらに、債務超過になった場合、米国の場合は公正な法執行により破綻処理されますが、中国では破綻処理がまともにされる政治体制にないところが問題なので、一緒にするのは如何かと思います。

 

 大丈夫ですか? 木内さん!

 

 昨日とは全く違った意味で同じ台詞です。

 

有り難うございました。