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出遅れおじさんです。
【おことわり】
「モーサテ日記」は以前モーサテのキャスターをされていた佐々木明子さんの日経マネー誌の連載タイトルです。佐々木明子さんがWBSに異動されて連載タイトルが変わりましたので勝手にパクっています。
本日(8月18日)のモーサテ「日経超特急+」のコーナーは日本経済新聞社の梶原誠氏でテーマは「経済こそが緊張を緩和する」でした。
ベースとなったのは8月11日付けの同氏の署名記事
です。(有料会員限定ですが、無料会員登録すれば月10本まで読めます)
梶原氏が今日のコーナーで強調したのは
1.「紛争は経済に良い」という危うい論調
2.緊張緩和に尽くした渋澤栄一
3. 安定あっての企業成長
の、3点です。
3.はその通りですが、1.と2.については聞いていて目眩がしてきました。
1.「紛争は経済に良い」という危うい論調
梶原氏が一つの例として例示したのは、ウォールストリートジャーナル紙の「危機は経済にとって良い」という寄稿で、米ソ冷戦下の技術競争がIT産業の発展に繋がったと言う例を上げているとのことです。
(申しわけありませんが同寄稿記事は発見できていません)
言うまでも有りませんが、軍需産業が民生転用されて我々の生活を一変させたのは、第一にインターネット技術で有り、第二はGPSであると言うことは周知の事実です。
厳しい緊張下の技術の切磋琢磨が思わぬ果実を生み出すことは事実ですが、紛争が勃発してしまえば元も子もありません。
併せて、梶原氏は、ノースロップグラマン社とS&P500の比較チャートを例示し、いかにも軍需産業は「美味い汁を吸っている」と言わんばかりでした。
紛争があれば、紛争には至らなくとも緊張が高まれば、「美味しい思いをする」業界はあるでしょう。
軍需産業に限らず、今回のロシアによるウクライナ侵攻を受け手の資源価格の高騰により、日本国内でも「勝者株」モトイ「商社株」や鉱業株等好調な分野もあります。
しかしS&P500全体が下げていると言うことは全く無視しています。
全体の下げの大きな要因は金利の上昇で、原因の一つはコロナ後の人手不足による人件費の高騰ですが、ウクライナ紛争を受けてのエネルギー価格の高騰の影響も大きく、インフレ対策として金利は上昇しています。
梶原氏が言うように多くの人命をリスクに晒す紛争に経済成長を期待するのは健全で無いというのはまさしく真実ですが、誰もそんな期待はしていないのでは無いでしょうか。
2.緊張緩和に尽くした渋澤栄一
梶原氏は渋澤氏が米国での合弁会社設立による雇用増大により1920年代の米国の移民排斥の緩和を提唱したことを例としてあげ、資本の投入が両国の関係改善に寄与するとし、東京大学特任教授の國分俊史氏の以下の主張を紹介しました。
「多くの企業が米国市場から閉め出される中、東証が受け皿になり資金調達機会を提供する」
「日本のマネーが『物言う投資家』になり中国に倫理観を高めてもらう」
正気ですか?
冗談はヨシコさん! なんてのんきなことを言っている場合ではありません。
中国の企業に「倫理観」など期待してはいけません。仮に倫理観のある経営者がいても中国共産党はそれを許しません。
2010年に施行された「国防動員法」では一朝事あれば、あらゆる個人・企業(勿論日本との合弁企業も含みます)は中国共産党の指揮下に入ることになります。
従って如何に物言う投資家がいても共産党の意向がすべてに優先するのです。
そもそも中国の企業が何故米国市場から閉め出されているのか?
梶原氏も「経済」を名乗る新聞社の方なら判るはずですが、中国企業の悪行三昧は、不公正な商慣行や技術の盗用・軍事への転用等枚挙にいとまはありませんが、アリババ等が米国市場から上場廃止を迫られているのは、企業に対する監査を「国防上の理由」で中国政府が拒否しているからに他なりません。
いくら企業が倫理観に芽生えても共産党・政府がそれを許さないのです。
渋澤氏を引き合いに出していますが、それは「価値観を共有する」相手であるから成り立つことなのです。
いま、中国国内に日本との合弁会社が何万社あるかご存じなのでしょうか。
それによって何万人の雇用が生まれているかご存じなのでしょうか。
尖閣の国有化時等、平気で日本企業の焼き討ちをするような連中ですよ。
(これには政府の動員があったとの情報もあります)
米国も、中国がある程度豊かになれば民主主義的思考が芽生えると期待したようですが、今やフランケンシュタインを作ってしまった(ポンペオ元国務長官)と反省しています。
國分氏が提唱する、監査も受け入れない企業に日本の投資マネーを呼び込むなど言語道断です。
これ以上中国進出企業を増やせば、企業や駐在員、その家族等「人質」を増やすだけというのをいい加減悟って欲しいと思います。
有り難うございました。