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出遅れおじさんです。
【おことわり】
「モーサテ日記」は以前モーサテのキャスターをされていた佐々木明子さんの日経マネー誌の連載タイトルです。佐々木明子さんがWBSに異動されて連載タイトルが変わりましたので勝手にパクっています。
本日(12月6日)のモーサテ「プロの眼」のゲストは東短リサーチの加藤出氏で、テーマは「日銀とは違う? スイス中銀の柔軟性」です。
スイス中銀が今年6月にこれまでのマイナス金利を見直し、利上げに踏み切ったことを踏まえて、「日銀も・・・」と、聞く前から加藤氏の言いたいことは透けて見えていました。
案の定、いきなり主要な物品のニューヨークと東京の比較を提示して、駐在員は円高で苦しんでいる・・・と何時もの調子で訴え始めました。
でも、加藤さん! ペットボトルの水が、NY:600円対東京120円?
140円の為替が110円になっても、水の値段は470円対120円ですよ。
根本的な商品の価格の差を無視して、「円安によって駐在員が苦しんでいる」というマヤカシはいい加減に止めたらいかがですか。
今回も大戸屋の「シマホッケ焼き定食」の値段を比較していますが、NYで日本人も認める味の焼き魚を作るのに材料調達から初めてどれくらいコストが掛かるのかを無視して比較してもしょうが無いじゃないですか。
和食ブームに乗っかって、強気な値付けでも行けるという経営戦略も影響しているのでは無いですか?
加藤さんは以前、NYで豚骨ラーメン(力の源HD<3561>が展開する一風堂だと思います)が税チップ込みで3,000円もすると嘆いていらっしゃいましたが、NYで人気の博多ラーメンならこれくらいの強気な値付けでも客が来る、という経営判断の下につけられた値段であって、円安のせいでは無いでしょう。
スイスが総合CPIが3%を越え、尋常な状態では無いと判断して利上げに踏み切った。
総合CPIが3%超、欧米式コアCPIも1%台半ばで、同様な環境の日銀は視野が狭いので、利上げに踏み切れない、と締めくくられています。
加藤さん! スイスと日本の大事な条件差を無視して、話をしてはいけません。
スイスの利上げの背景には深刻な人手不足があります。
の記事にありますように、今後4年間で、大卒・専門学校卒のような熟練労働者が36万人以上不足すると言われています。
スイスの人口をご存じですか? 900万人以下ですよ。スイスの36万人は日本の480万人に相当するほどの深刻な状況です。
だから、スイス中銀は先手を打って利上げに踏み切ったのです。
同じことを日本でやればどうなるか・・・日銀に対して言う前に、視野を広くもたれたらいかがでしょうか。
マスコミにはとかく金融緩和策をヤメさせたい輩が多いようです。
日経の先週末の記事(有料会員限定)
によれば、日銀の野口審議委員が、まるで、緩和策の見直しに言及したかのようなタイトルですが、会見内容を全文読むと、野口審議委員の主旨は
「安定的に賃金と物価が上昇する状態が出来れば見直しも・・・(そうならない限り緩和は止めねーヨ!)」 (そんな下品な物言いはなさらないと思いますが)
と、仰っているのです。
黒田総裁が以前仰っていたように、緩和だけでは安定的物価上昇は困難で、税制支出が必要と総括しているのに、一向に財布の紐を緩めない財務省と、それを一生懸命応援するマスコミ・・・この国はどうなっていくのでしょうか。
故安倍総理のようなマクロ経済に明るく強力なリーダーシップの発揮できる政治家を望みます。
有り難うございました。