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出遅れおじさんです。
【おことわり】
「モーサテ日記」は以前モーサテのキャスターをされていた佐々木明子さんの日経マネー誌の連載タイトルです。佐々木明子さんがWBSに異動されて連載タイトルが変わりましたので勝手にパクっています。
本日(3月28日)のモーサテ「プロの眼」のゲストは東短リサーチの加藤出氏、テーマは「大規模緩和が招く2つの支配」でした。
加藤氏の主張は中央銀行が大規模緩和によって2つのドミナンスに陥っていると言うことでした。
「ドミナンス」と言う言葉は「優越、優勢」という意味ですが、加藤氏は中央銀行が2つのドミナンスに支配されている(従わされている)という主旨で使用しています。
【第一は「金融ドミナンス」】
加藤氏は、1998年から2023年までの25年間で主要中央銀行、特に日銀の保有資産が緩和により(ECBやFRBに対して)劇的に膨脹していると以下のグラフを提示しましました。
金融緩和が続くと低金利の債権を買わざるを得ず、利益を上げんが為にレバレッジを効かせたりせざるを得なくなる。
こういう状態で物価高局面になり利上げをしようとすると低利債権の保有者は含み損を抱えることになり、「今回アメリカで生じたような」金融不安になる懸念があり、利上げに踏み切れなくなる状況が「金融ドミナンス」とのこと。
で?
ドーでも良いですけど、上記の視点はすべて「債権ディーラー」の立場に立っていません?
今回のFRBの容赦ない(?)利上げ攻勢を見て、「金融ドミナンス」に捕らわれて利上げの決定に躊躇があったとはとても思えません。
いや、躊躇があっても良かったのでは・・・という「債権村」の怨嗟の声のようにしか聞こえません。
【第二は「財政ドミナンス」】
金融緩和の元では、国債が容易に発行できることにより、財政規律が緩みがちで、中央銀行が利上げに踏み切ろうとすると、利払いが増えかねない政権や与党からのプレッシャーが懸けられることを「財政ドミナンス」と言うとのこと。
確かに理論上はあり得る話ではありますが、一体どこのアナザーワールドの話なのでしょう。
米国では、確かにトランプ政権とそれに輪を掛けたようなバイデン政権による過剰なバラマキによってインフレが引き起こされたと言っても過言ではありません。
しかし、政権の立場から見ると、「失業率の上昇」は失業した方には「痛み」となりますが、「インフレ」は全員が「痛み」を感じますので、政権から見るとインフレ抑制は最大の懸案事項では無いですか?
我が国では「ガラパゴス的」緊縮主義の財務省はマイナス金利でも国債発行には消極的です。
安倍政権が緩和を推し進めてきたのは、雇用の増大とデフレからの脱却が目的なのであって、利払いの削減が目的では無いでしょう。
利払いを抑制したければ日銀に市場から買い取らせれば良いだけです。
コロナ対策の100兆円はこうして後世にツケを残すこと無く捻出されたのです。
挙げ句の果てに加藤氏が最後に持ち出したのは、シカゴ大経営大学院のラグラム・ラジャン教授(元インド中銀総裁)のIMFに寄稿した「過ぎたるは及ばざるがごとし」というレポートを紹介しています。
徹底した反緩和論者の主張です。
併せて、我が国経済の低迷については、高齢化と労働者力の縮小が原因なのだから無理して緩和する必要は無いと切り捨てたとのこと。
フザケンジャネエ!!
日本経済の低迷は、過剰な円高によって生じた国際競争力の維持のためのコスト切り下げと製造業の国外移転が最大の原因では無いですか。
よりによって、こんな人の・・・と言いたくなります。
とは言うものの、今朝の加藤氏は何時もに比べると何となく歯切れが悪い、いかにもエネルギー切れ感が感じられました。
私の勝手な想像ですが、シリコンバレー銀行の破綻等の今回の金融不安を過剰な緩和の後遺症と主張しようとしていたのですが、番組冒頭に紹介されたバーFRB副議長の議会証言の準備書面で、「シリコンバレー銀行の破綻は経営失敗の教科書のような事例」と記されていたことが紹介されたため、トーンダウンせざるを得なかったのでは無いか・・・
邪推です。ハイ、私の勝手な邪推です。
有り難うございました。