出遅れリタイア日記

年金生活への移行 資産運用等

【モーサテ日記】渡辺教授は元同僚として、植田次期総裁への期待も・・・

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出遅れおじさんです。

 

【おことわり】

 「モーサテ日記」は以前モーサテのキャスターをされていた佐々木明子さんの日経マネー誌の連載タイトルです。佐々木明子さんがWBSに異動されて連載タイトルが変わりましたので勝手にパクっています。

 

 本日(4月7日)のモーサテ「プロの眼」のコーナーの開設は東京大学教授渡辺努氏でテーマは「日銀の歴代総裁は何を語ったのか」でした。

 

 渡辺氏はこれまでの記事でも幾度かご紹介させて頂きましたが、東大の文系(決して馬鹿にしているわけではありません)教授の中では最も傾聴に値する方です。

 (オマエ如きには言われたく無いと言う声が・・・)

 

 黒田総裁の任期満了日を翌日に控え、この10年を総括すると言う意味もあり、数多ある総裁講演でどのようなワードが用いられたかと言うことを過去三代の日銀総裁との比較で紹介してくださいました。

 因みに、過去三代の総裁は速水優氏(1998年~2003年)、福井俊彦氏(2003年~2008年)、白川方明氏(2008年~2013年)は何れも日銀出身、現総裁の黒田東彦氏(2013年~2023年)は財務省出身、次期総裁の植田和男氏は学者出身で渡辺氏とは同大経済学部の同僚であったとのことです。

 

モーサテ画面より



 このグラフは、講演テキスト10,000字当たりの出現回数を比較したものです。

 はっきりと見て取れるのは、「物価」、「金利」、「消費」等の黒田氏が最も用いた用語について他のお三方の出現頻度は半分以下です。

 辛うじて「投資」や「金融政策」は同レベルの出現となっていますが、「デフレ」や「賃金」も大きな差となっています。

 これについて渡辺氏は、前任のお三方には我が国が「デフレ」下にあると言う認識が無かったのでは、と説明されていました。

 

モーサテ画面より



 「日銀理論」というものがあって、これは学説として認知されたものというよりは、「日銀の内部で密かに信奉されている(これはこれで随分キョーレツな言い方だと思いますが)」理論でこの写真にありますように、「望ましい物価上昇率0%」と言うものです。

 

 一方通常の経済学者の理論では、フィリップス曲線を根拠とした「2%」を望ましい物価上昇率としていることとは随分乖離があります。

 

 渡辺氏には大変申し訳ない言い方で恐縮ですが、「学者理論」というものは一般的な解釈では現実世界から遠い、かなり浮き世離れした空理空論的なものを指すようですが、「日銀理論」とは更にその遙か斜め上を行く、ブっ飛んだ理論のようです。

 

 そもそもが「デフレ」状態であると言う認識が無ければ、改めようという発想は出てこないのでしょう。

 

 上記のグラフは黒田氏の使用用語を中心に纏めていますので、他のお三方はどういう用語を使ったかと言うことを表に纏めたのが下の写真です。

モーサテ画面より



 黒田氏が殆ど使っていませんでしたが、他のお三方の上位にある用語で特筆すべきはは「金融機関」です。

 

 確かに、日銀の二大責務は、「物価の安定」と「金融システムの安定」と日銀法にありますので、金融システムの安定、即ち金融機関の安定(キチンと利益をあげられるということ)は最重要の課題であり、黒田氏がそれを蔑ろにしたという批判はマーケット関係者には根強く燻っているようです。

 

 黒田氏がそう言う批判に晒されてきてはいることから、植田新総裁にはマーケットからの日銀理論への回帰、金融政策の正常化というプレッシャーに押し流されるのか、学者として学者理論を貫くのか、或いは全く新たな方向性に向かうのか・・・

 

 渡辺氏は元同僚と言うこともあり、植田新総裁への期待を語っていました。

 

 ただ、植田新総裁についての評価は、過去の言動等から色々取りざたされてはいますが、私は元大蔵官僚の高橋洋一氏の見立て、

 「所詮、政府の子会社の社長なのだから親会社の意向には逆らえない」

 というのが最も納得しやすいと感じています。

 

 そう言う意味では岸田ソーリの経済政策に関しては一抹以上の不安が残りますが、最近安保・外交政策で故安倍元総理の路線を踏襲することで、「覚醒?」とまで言われているように得点を稼いでおり、経済政策の分野でも一皮むけてくれれば幸甚の至りなのですが。

 

有り難うございました。