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出遅れおじさんです。
先週末来ご紹介しましたように、5月第一週(日本はG/W中ですが)に開催されるFOMCで(連邦公開市場委員会)での大幅利上げ観測を嫌気して4月末の米国市場は大幅に下落、これを受けての連休中の我が国市場も「大荒れ」という大方の予想でしたが、貴重な連休中の平日の5月2日の日経平均は振れ幅350円、最終的には29円安と平穏に終わりました。
米国ほど下げなかった理由の一つは、(岸田ソーリの経済政策にせいですでに十分下げているというツッコミは置いておいて)これから本格化する2022年3月期決算発表への期待も大きいのではと考えています。
そんな中、五大商社の先陣を切って三井物産(8031)が5月2日に決算を発表しました。
以降、
6日:丸紅(株式を保有していませんのでノーチェックです)
11日:住友商事(8053)
と続きます。
今回発表された三井物産の2022年3月期の純利益は対前年同期比2.7倍(コロナ禍前過去最高益の2倍以上)という驚愕の内容で、金属資源高等の恩恵のようです。
併せて1,000億円もの自社株買いを公表しました。
過去の記事
でご紹介した、6.5%もの「爆上げ」を記録した2021年度の自社株買いの二倍の規模です。
直近及び今回の決算の概要は以下のとおりです。(収益、純利は億円単位、1株配当の単位は円です)
収益 純利 1株配当
19年3月期 69,575 4,142 80円(40+40)
20年3月期 68,850 3,915 80円(40+40)
21年3月期 80,102 3,354 85円(40+45)
22年3月期 117,575 9,147 105円(45+60)今回
23年3月期 - 8,000 120円(60+60)予想
22年3月期の純利益の見通しについては、前年度決算発表時以降再三上方修正されてきました。
22年3月期純利予想
前年度決算時 4,600億円
1/四期発表時 6,400
2/四期発表時 7,200
3/四期発表時 8,400
上記の自社株買い倍増と併せて、株価も暴騰・・・とはなかなか行きません。
言うまでも有りませんが、同社(及び三菱商事)が抱える最大の爆弾「サハリンⅡ」の不透明感が燻っているからです。
サハリンⅡはサハリン(樺太)東岸のガス田から同島南端までパイプラインを敷設、液化天然ガスプラントを建設しLNGとして供給するもので、60%は日本向けです。逆に日本の天然ガスの輸入量の10%近くはサハリンⅡから供給されています。
ご存じのようにシェルはロシアへの制裁に同調してさっさと撤退を表明しました。
我が国は・・・両社は「撤退しない」を基本方針に政府に伝え、経済産業省も同意したとのことです。
前提条件として両社の損得勘定はあるものの、今撤退すると利権を中国に奪われ、結果としてロシアを利することになると言われれば、政府も同意せざるを得ないでしょう。
勿論、ロシアのエネルギー源に依存しない米国に言われれば急転直下「撤退」という事にもなりかねません。
三井物産の発表によれば、サハリンⅡとArcticLNG2を併せてロシアの格付け低下に伴う投資の構成価値減少を804億円折り込むと共に、209億円の損失を計上、2022年3月末断面のロシアLNG事業に関わる投融資保証残高は4,047億円とのことです。
2023年3月期以降この4,000億円(+LNG事業による得べかりし利益の遺失)がほぼ最大級のリスクではあります。
いずれにせよ、長期的には脱「ロシア依存」の方向へ進まざるを得ないと思います。
「ナーンダ! ヨンセンオクって、今年の純利の半分ジャン!」
なんて不謹慎極まり無い思いもないではありません。
有り難うございました。