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出遅れおじさんです。
【おことわり】
「モーサテ日記」は以前モーサテのキャスターをされていた佐々木明子さんの日経マネー誌の連載タイトルです。佐々木明子さんがWBSに移動されて連載タイトルが変わりましたので勝手にパクっています。
本日のモーサテ、「日経のベテラン記者がニュースの背景を深掘り」のコーナーの担当は日経新聞の柳瀬和央氏で、テーマは「日本の格差の現状と課題」、まさに「成長」と「分配」に関わる話題でした。
各党党首討論での成長に関する議論については具体論も無く討論が浅薄であったということに付いての指摘はまさに仰るとおりとしか言いようが有りません。
「分配」政策に関して柳瀬氏は二段階で我が国のジニ係数の推移を提示しました。
敢えてジニ係数を説明させて頂けば、所得がどれだけ均等かを表す指数で、所得に少ない人から順に所得を加算していって、出来上がったグラフが45度の直線になれば全員が同じ所得で係数は0、直線から乖離して、極端な例として一人以外が所得0、一人が所得を独占している状況を係数1と表す指標です。数字の大きい方が格差が大きいといえます。
画面の写真は二つのグラフを併せて表示したものですが、第一段階は当初所得でのジニ係数の推移(写真の青グラフ)、第二段階で所得の再分配(累進課税等の徴税と、生活保護等の給付策)後のジニ係数の推移(写真の赤グラフ)を表示しました。
確かにこれでは、野党の皆さんが言っているような「格差が拡大している」とは言いがたいとしか見えません。
所得再分配後のジニ係数は2005年あたりをピークに低下傾向にあリますし、良―く見ると所得のジニ係数(青グラフ)も2014年くらいがピークで2017年はすでに低下傾向にあります。
赤グラフを見ただけでは、「再分配は上手く機能している」としか見えません。MCの大浜平八郎氏も、「再分配は上手く行っているように見えます」とコメントしました。
柳瀬氏は今日の特集で何が言いたいのだろう、やはり「分配」より「成長」か? と見ていると、彼が次に示したのは主要国の相対的貧困率の比較表です。
「出たっ! やっぱりこれか!」
と私はテレビに突っ込んでしまいました。
「テレビで相対的貧困率の国際比較を見せてドーする!」
相対的貧困率とは、所得(再分配後)の「中間値」(メディアン:所得の順に人を並べた時のまん中の人の所得)の1/2の所得以下の人が何%いるかという指標です。
確かに日本の相対的貧困率は高いです。
これが野党や再分配論者の皆さんの主張の根拠となっていることが多いのです。
でも、他の主要国と比べて日本の貧困率は高い(主要国中3位!!)と感じますか?
相対的貧困率は、その国の年齢構成や所得分布に依存するので他国と比較しても全く意味の無い指標なのです。
何故このようなことが起こるかと言えば、日本は格差の少ない社会で、比較的均質に豊かなので中央値の所得が結構高いのです。特に人口統計の中核をなす団塊の世代等が影響しています。
従って、その半分の所得の人は「貧困」と定義されていますが、他国に行けばそこそこの生活水準である事もあります。
従って、相対的貧困率の議論をする場合は、国と国を比較しても全くナンセンスで、同じ国の時系列的変化を見ないと意味の無い指標です。
日本の相対的貧困率の推移を探していたら下のグラフを見つけました。
厚生労働省等の「国民生活基礎調査」を用い分析している「貧困統計ホームページ」より引用したものです。
日本の相対的貧困率と子どもの貧困率(詳細な定義は不詳)の推移を表したグラフです。
よく見て下さい。
どちらも2012年をピークに下降傾向にあります。
2012年は何の年であったかと言えば、民主党から自民党に政権交代が有り、アベノミクスが始まった年なのです。
アベノミクスについて否定的に語りたい方は多いでしょうが、「雇用」を飛躍的に増やしたと言うことは紛れもない事実です。
高齢者の予想に反して20代層で圧倒的に自民党(特に安倍政権)の支持率が高かったのは圧倒的な就職環境の改善の効果でした。
当然新規に雇用された方は低収入なので、単純に平均した「名目賃金」或いはそれを物価上昇率で割った「実質賃金」は低くならざる(経済学でニューカマー効果と言うそうです)を得ず、「実質賃金は低下している」と野党の格好の攻撃材料となっていますが、低くても収入「0」のかたが収入を得られるようになると言うことが貧困対策として重要なのです。
全く的外れの野党の指摘を真に受けていると明るい明日はやってきません。
有り難うございました。