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出遅れおじさんです。
11月18日(金)に総務省より10月の消費者物価指数が公表されました。
それぞれの指標(対前年同期比)の直近の推移は以下の通りです。
言うまでもありませんが、
・CPI総合 :すべての価格の平均
・コアCPI :生鮮食品を除く価格の平均
・コアコアCPI :生鮮食品、エネルギーを除く価格の平均
・欧米式コアCPI:飲食品、エネルギーを除く価格の平均
です。
上記のグラフにありますように、CPI総合やコアCPIはついに+3%代の半ばに達し、コアコアCPI(ほぼ日銀コア指数に相当?)も+2.5%と2%台に乗せました。
私自身は、欧米式コアCPI(欧州と米国ではアルコールを含むか否かの違いはあるようです)が、+1.5%と急上昇したことに注目しています。
(因みに10月の米国のコア指数は+6.3%、EUは+5.0%です)
何れの場であったか記憶は定かではありませんが、以前元日銀政策審議委員の片岡剛士氏が「欧米式コア指数が+1.5%を安定的に越える状態になればフェーズが変わる」と仰っていたからです。
「漸くここまで来たか!」
とまるで日銀総裁のような気分で感慨に耽っていたら・・・
私の物価上昇率のデータのネタ元は、以下の片岡氏が所属するPwCコンサルティングがリリースする”Daily Macro Economic Insights”です。
2ページ目に消費者物価指数の「財(所謂モノの価格)」と「サービス」の寄与度推移が掲載されています。
「財」については多少のでこぼこはありましたが、2021年の5月以降順調に対前年同月比を上まわっており同年9月以降はほぼ全分野(個別品目ではマイナスもあり)で対前年同月比上昇を続けています。
ところが「サービス」については、2021年4月以降急激に-1%近く減少しています。
言うまでも有りません、菅総理の肝いり政策「携帯料金の値下げ要求(所謂ガースーショック)」の影響です。
その1年後、2022年4月からは携帯料金の値下げが織り込まれたために、冒頭のグラフにありますように、対前年同月比の物価指数は急上昇します。
そして今回は・・・やはり携帯料金の影響でした。
「サービス」の寄与率のグラフに、携帯料金の寄与率の推移が薄い茶色で示されています。
携帯料金による物価への影響が二段階生じています。
2021年4月よりほぼ-1%(0%→-1%)、2021年10月よりさらに-0.5%(-1%→-1.5%)となっていますが、4月の下げは「ガースーの一声」によるものですが、10月からの下げは楽天モバイルの急拡大に対抗して新たな価格プランが登場したことによるものです。
(その後すぐ楽天モバイルは無料プランを廃止しましたが・・・)
従って今年の10月の対前年同月比物価指数はその影響が無くなって大きく上がっただけでした。
その代わりと言ってはナンですが、「その他」のサービスの寄与が無くなってしまっています。「支援事業」等で宿泊費が下がっている等の影響もありますが、一番大きな理由は、
「給料が上がらなければ、使うお金は増えない」
という極めて当たり前の経済原則によるものです。
物価が上昇していく局面では、これまで携帯電話料金が下がった分が他の消費に廻って物価上昇を吸収してきたにしても、これからは何かの支出を絞るしか方法はありません。
このままでは早晩物価は下落してくると思われます。
片岡氏の言う「1.5%を安定的に越える」状態に至るためには、財政出動等需給ギャップの解消しかありません。
しかし自民党の税調は「増税」の話題しか無いようで、お先真っ暗としか言いようが有りません。
有り難うございました。