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出遅れおじさんです。
【おことわり】
「モーサテ日記」は以前モーサテのキャスターをされていた佐々木明子さんの日経マネー誌の連載タイトルです。佐々木明子さんがWBSに異動されて連載タイトルが変わりましたので勝手にパクっています。
本日(5月12日)のモーサテ「プロの眼」のゲストはロールシャッハアドバイサリーのジョセフクラフト氏でテーマは「『インベストイン岸田』は主旨表明」でした。
岸田ソーリのロンドンのシティのギルドホールでの基調講演から丁度一週間が経過しましたが、はじめて「インベストイン岸田」を評価するコメントを聞きました。
クラフト氏があのスピーチを評価したポイントは以下の3点でした。
改革姿勢、アベノミクスの改良
⇒外国人投資家を意識
貯蓄から投資
⇒NISAの抜本的拡充
新たな仕組みの創設
タブー政策への取り組み
⇒原発再稼働
入国制限緩和
善くぞここまで好意的に解釈できたものだと感心します。
下から逆にコメントします。
【タブー政策への取り組み】
入国制限の緩和は、やや内外の圧力に屈した形で訪日外国人の制限の緩和を打ち出しましたが、それ以前の国内需要の喚起はどうなったのでしょう。
安全の確認できた原発の有効利用についても、温暖化対策や欧州向けの天然ガス確保という名目が無ければ原発の活用に言及できないのは嘆かわしい限りです。
嘘でもハッタリでも(実現を望むところですが)「我が国は安全対策の終えた原発を順次再稼働します」と言えないのか?
言っただけで天然ガス市況が暴落するのは目に見えているのですが・・・
【貯蓄から投資】
なんでNISA制度の拡充等という回りくどいことを言うのでしょう。
それは、財務官僚に操られているからです。
「金融所得減税」と一言言えば内外より投資マネーが殺到するに違いありません。
NISAは国内限定の部分的減税措置です。
「抜本的拡充」等という官僚のレトリックとの合わせ技で、大幅な金融所得課税の見直し(勿論増税)が付いてくるのは見え見えです。
【アベノミクスの改良】
クラフト氏によれば、アベノミクスは不完全燃焼に終わったが、海外からはそれなりの評価を得ており、政策の継続性は海外の投資家の安心感を呼ぶとのことです。
で? 岸田ソーリは何時からアベノミクスを肯定するようになったのでしょう?
今までアベノミクスの対立軸として、「新しい資本主義」を提唱していたのでは無かったのですか。
確かに、スピーチの最後の近くで、とってつけたように
「引き続き、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めます。」
と有ります。
勿論これらはアベノミクスの大切な三本の矢です。
アベノミクスが不完全燃焼に終わったのは、三本の矢の内、まともに放たれたのは「金融緩和」だけだったからです。
ただ、これも最近では「悪い円安」論で、緩和を否定しようという動きがある事は周知の事実です。
しかも、岸田ソーリは「緩和」とは言っていません。「金融政策」という言い方で緩和にも引き締めにも使える言い方をしています。
これぞ官僚レトリックの最たるもので、旧来の「為替の安定化」が政策目標という「トンデモ」政策に戻りかねません。
「機動的な財政政策」も同様で、緩和にも緊縮にも使える用語です。アベノミクスでは総理大臣が「出動」と言っているのに財務省が支出を渋り、挙げ句の果てに消費税増税で需給ギャップを拡大させてしまった愚策をまた繰り返そうとしているのでしょうか。
成長戦略についても同様で、「官」に求められているのは様々な規制の撤廃による自由な市場の確保、競争環境の整備以外にはあり得ません。
それをいみじくも岸田ソーリは「市場or国家」、「官or民」では無く「市場and国家」、「官and民」と言って明確に「官」の介入を正当化しようとしています。
これが霞ヶ関が目指す「官僚社会主義」でなくて何なのでしょうか。
大変失礼な言い方ながら、クラフト氏も財務官僚に「一服盛られたか?」と言わざるを得ません。
有り難うございました。