出遅れリタイア日記

年金生活への移行 資産運用等

(続)「脱株主資本主義」?・・・「四半期決算開示義務」は悪か?

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出遅れおじさんです。

 

 昨日は、14日の衆議院予算委員会での「自社株買い規制」についての岸田総理の答弁に対して逆上のあまり、「早期退陣を求める」と引導を渡してしまいました。

 

 昨日ご紹介した、立憲民主党落合貴之議員の質疑(以下の動画の2時間59分以降)

www.shugiintv.go.jp

 の中で、昨日は取り上げませんでしたが、落合議員は岸田総理の「新しい資本主義」について「自社株買い規制」ともう一つ「四半期決算開示義務の見直し」を取り上げていました。

 

 落合議員の指摘の通り、10月8日開催の第205回国会での岸田総理の所信表明演説では「第ニの政策 新しい資本主義の実現」のなかで企業が長期的視点に立って経営を行うための環境整備として、「四半期開示の見直し」を謳っていましたが、12月の第207回国会での所信表明演説では「四半期決算見直し」だけでなく「株主資本主義からの脱却」という文言すら消えています。

 「四半期決算開示義務化見直し」をやるのかやらないのか問われた岸田総理は、「意義あることだと思っているが、様々な意見があり議論が必要」と応えました。

 さすがの岸田総理も、「四半期決算開示義務」は2008年「金融商品取引法」で法的に義務化されており、ここを触るのはハードルが高いと感じたのかも知れません。

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決算開示は経営の敵?



 落合議員の主張は、以下のとおりでした。

・この四半世紀(1997年基準)、 資本金10億以上の企業の

  売上高は7%増にすぎないが

  経常利益は3倍

  配当は6倍となった。

  これは従業員給与・設備投資は4%減少と抑制した結果。

・これは高ROE経営を推奨の弊害。

・併せて、国際標準として四半期決算開示を進めてきたが、

  欧州は開示義務化を廃止

  米国と追従する日本のみが義務化

・四半期開示によって、中長期的視野が損なわれている。

・四半期決算開示義務は廃止すべき。

 

 「四半期決算開示によって中長期的視野が損なわれる」は岸田総理が自民党総裁選に勝利して以降、岸田氏の唱える「新しい資本主義」が人口に膾炙されるようになって以降「ネタ元」と噂された、公益資本主義を提唱されたアライアンス・フォーラム財団会長の原丈人氏や、コモンズ投信株式会社会長渋澤健氏(渋沢栄一氏の玄孫のかた!)などの方々も同様の主張をされています。

 

 しかし、四半期決算の開示によって経営者が株主の方だけを向いて短期的利益の計上に重きを置いて、中長期的視野が損なわれるというのは本当でしょうか?。

 

 落合議員はヨーロッパはすでに義務化を廃止し、日米が取り残されつつあるという主張をしていますが、企業の成長力を見る限り米国の圧勝では無いでしょうか。

 GDPの伸び率を比較すれば明らかです。

 

 勿論、ヨーロッパにも米国に対するアドバンテージを持った業界があって、その最大のものは自動車業界でしょう。

 しかし、ダイムラーBMWVW、PSA、ルノー等名だたる自動車メーカーは義務化ではなくなった後も四半期決算公表を継続しつつ、成長しています。

 勿論、彼らには米国市場での資金調達と言う大きな大義があるということは否定しませんが、四半期決算開示を行っているから中長期的視野が損なわれているとは思えません。

 GAFAMを初めとした米国のIT企業等、四半期決算開示を求められていても十分中長期的視野に立った成長戦略を描いて、かつ具現化しています。

 

 即ち、四半期決算開示を求められると言うことと、中長期的視野に立ったビジョンが描けるかと言うことは全く関係がないと言って差し支えないでしょう。

 

 そう言う意味では落合議員の指摘は的外れと言わざるを得ません。

 立憲民主党の方にそう言う見識を求めるのは無理とまでは言いませんが・・・

 

 それに一部とはいえ同調した岸田総理も「同じ穴の狢」か?

 

有り難うございました。