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出遅れおじさんです。
【おことわり】
「モーサテ日記」は以前モーサテのキャスターをされていた佐々木明子さんの日経マネー誌の連載タイトルです。佐々木明子さんがWBSに移動されて連載タイトルが変わりましたので勝手にパクっています。
今日(10月13日)のモーサテ「プロの眼」のコーナーはマネックス証券の広木隆氏でした。
以前にも同じようなタイトルの記事を上げていましたが、広木氏の指摘はなかなか的確で頷かされる事が多いと感じています。
(過去の記事
をご参照下さい)
今日のプロの眼は「岸田政権の経済政策にもの申す」でした。
成長のために「貯蓄から投資へ」推進を、がメインテーマでした。
競争力強化のための先端技術への投資や、労働分配向上のための人材への投資は勿論なのですが、冒頭触れられていたのは、貯蓄マネーを投資に導くと言うものでした。
番組でも取り上げられましたが、一時期話題になった、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏の著書「21世紀の資本」で有名な式
【資本収益率return】>【経済成長率growth】
については、どちらかというと「貧富の差は拡大し続ける」「資本家、怪しからん」というネガティブな意味で引用されることが多いと思います。
この本が画期的なのは、1971年ノーベル賞経済学賞を受賞したサムエル・クズネッツ氏の主張
「資本主義の初期段階では貧富の差は拡大するが、経済成長に伴って格差は縮小する」
を、真っ向から否定したことにあります。(この指摘は高橋洋一氏の著書より引用)
勿論、この式は何ら理論的な手法によって導き出されたものでは無く、膨大なデータ検証の結果得られた「実績」に他なりません。
そしてかなりの確率で今後も起こりうると推察されているに過ぎません。
当然これを是正するための手法の一つに、「税」による所得の再分配があることは言うまでも有りません。ピケティ氏も同書の中で最も有効な格差拡大解消の手法は累進課税だと訴えています。
しかしこの式のもう一つの意味するところは余り大きく論じられることはありません。(と言うか殆どは私の私見ですが)
【資本収益率r】が伸びなければ【経済成長率g】も伸びない
と言うことでは無いでしょうか。
広木氏が番組内で紹介した、「新自由主義」の信奉者と言われる英国元首相サッチャー氏の言葉、
「金持ちを貧しくしても、貧しい人は豊かになれない」
は名言だと思います。
ピケティ氏の「21世紀の資本」の後半に興味深い事例が紹介されています。
欧米主要国の20世紀に入ってからの所得税と相続税の最高税率の推移がグラフ化されています。
この中で英米(所謂アングロサクソン社会)中心に1940年以降急速に税率が上昇し、大戦後は急減しています。
勿論この税率上昇は「格差是正のため」なんかでは無く、戦費の調達が目的であった事は言うまでも有りません。
しかし何故戦後になって英米が最高税率を下げてきたか、単に資本家の発言力が大きかったと言うことだけでは無いと思います。
全くの個人的感想にすぎませんが、社会階層による社会への発言力の差はアングロサクソン社会よりフランス等非アングロサクソン社会の方が大きいように感じます。
アングロサクソンの合理主義的思考によって、経済活動の活性化には資本収益の向上が欠かせないと考えたからでは無いでしょうか。
上記のサッチャー氏の発言はまさにこの考え方を代弁したものに他なりません。
広木氏は岸田新政権に求める経済対策として、我が国のGDPを遙かに超え、国債の発行残高(借金にあらず!)にも比肩しうる巨額の国民の預貯金「死んだお金」を「投資(所謂r)」に向かわせるべきと主張しました。
勿論、広木氏は証券会社の立場ですので、ポジショントーク的面があることは否定しませんが、傾聴に値する意見です。
有り難うございました。